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障害年金の消滅時効は「障害発生から」(最高裁)

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 最高裁第3小法廷で、平成29年10月17日に、障害を負った後に長い年月が経過した後に、障害年金を申請し、5年の消滅時効を理由に障害年金の一部しか支給されなかった男性が不支給分の支払いを国に求めた裁判に対し、年金が受ける権利の消滅時効は、障害の発生から進行するとの判断を示し、男性の上告が棄却されました。

障害年金は、申請を受けてから障害の発生時期を認定し、障害の当時に遡って支給する仕組みの制度ですが、法律では、権利は5年で消滅するという消滅時効(権利が消滅すること)の定めがあるため、訴訟では、いつの時点から時効が進行するかが争いがありました。

 今回、最高裁が障害年金の消滅時効の起算は「障害の発生」と認定したのは、高等裁判所で、年金の時効の起算点を「年金を申請し、年金支給が決まったことと本人に通知された時点」からと判断し、国が消滅時効を理由に認めなかった不支給分の支払いを命じた裁判例などがあるため、これに対し、司法全体に、統一した見解を示すためです。

  消滅時効の解釈は、形式的には「障害の発生」と考えられますが、実態的には、障害を受けても障害年金制度を知らない人が多く、障害年金制度を知った時点から消滅時効(権利の消滅)を考えるのが救済的な見地からも妥当ではないかと考え方があるため、障害年金制度の消滅時効は「障害年金申請をし、障害年金支給が決まったことが本人に通知された時点」と解釈した方が社会的実態に沿うと思われますが、今回の最高裁の決定で、このような社会的実態は、考慮されないこととなりました。

  もともと、消滅時効(権利が消滅する制度)は、権利の上に眠る者を保護する必要はないとの点で作られた制度ですが、このような社会的実態の踏まえても、最高裁の考えは、司法の統一的判断のため、今後は益々、障害年金の受給申請は早めに行う必要が強くなります。

 何かの事故で怪我や障害を負った場合は、弁護士などの専門家に早めに相談することをお勧めします。

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