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野菜売り場での転倒事故|スーパーに責任はあるのか?

損害賠償民事一般

神奈川県内のスーパーで、野菜売り場がぬれていて床で滑って転倒し、左肘を骨折したなどを理由にスーパーを訴えた裁判がありました。

男性が野菜売り場で転倒した原因は、サニーレタスの水が床に垂れて、その水により男性は滑って転倒したとのことですが、このような場合に男性はスーパーに対し、発生した損害を請求できるのでしょうか。

スーパーと男性との間には契約関係はないため、スーパーが男性に負うのは、店舗の施設管理権と共に管理義務を負うことや来客者に怪我を負わせないなどの一般的な安全配慮義務を負うため、これに反し、来店者に怪我をさせた場合不法行為責任(民法第709条)に基づき賠償責任を負う場合が考えられます。

また、床は建物の一部であるため、その設置又は保存に瑕疵があることで他人に損害を与えた場合は、工作物の占有者(本件ではスーパー)が土地工作物責任(民法第717条1項)を負う規定があるため、この規定により責任を負うことも考えられますが、本件では床が水に濡れている状態であったとすれば、床に設置や保存の瑕疵があると評価するのは困難です。

そのため、不法行為に基づき、スーパーが来店者にどの程度の安全配慮義務や管理義務を負うかが問題となります。

不法行為責任は、(1)事故が起きることの予見可能性と(2)事故の回避可能性がある場合に回避措置を怠り、それが原因で事故で発生した場合に、発生した損害に対し賠償義務を負います。

(1)予見可能性                                            レタス置き場で日常的に水がしたたり落ち、その水の量がモップで拭くほどのものであった、毎日定期的に野菜売り場にしたたり落ちる水をモップで拭いていたなど継続的に人が転倒しかねないほどの水がしたたり落ちていたという事情があれば、人が転倒することに対し予見可能性はあると言えます。

(2)結果回避可能性                                          モップで拭けば床の水は消失する以上、転倒という事故を回避できる結果回避可能性はあると言えます。

そのため、このような事情がありながら、水により男性が転倒した場合、スーパーは男性に対し不法行為に基づく損害賠償責任を負う可能性は十分にあります。

また、本件裁判(東京地裁)でも男性に対し、実際にスーパーの不法行為責任を認め、約2180万円を支払う内容の判決が出ています。

スーパー、デパートなど人の来訪を予定している建物では、玄関や床で転倒し、施設管理者が損害賠償責任を問われる事件は頻繁に発生しています。

建物の使用者や管理者は、来訪者が転倒などの怪我を負わないか施設について安全確認チェックリストを作り、施設の安全管理に努めることが必要です。

また、このような事故で怪我や後遺障害を負われた方は、お気軽に当事務所へご相談下さい。

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みずほ綜合法律事務所(札幌弁護士会所属)は、個人や会社に安心と信頼をお届けしてきました。

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