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過労自殺は労災と認められるか

労働問題

ヤマト運輸の従業員が自殺した事案で、自殺の原因は過労だったとして労災認定を国に求めた事案で、名古屋地裁は労災を認める判決を出しました。

労働災害(労災)が認められるための要件は①業務遂行性と②業務起因性と必要です。業務遂行性とは労災発生時に会社の指揮監督下で業務を行っていたこと、業務起因性とは業務中の行為と労災に因果関係がある場合です。

厚労省の通達(平成23年12月26日基発1226第1号)では、①対象となる精神障害を発症していること(うつ病や神経症、躁うつ病や統合失調症など)、②精神障害の発症前おおむね6ヶ月間に業務による強い心理的不可が認められること、③業務以外の心理的不可や個体側要因により発病したと認められないことが要件となっています。

長時間労働の場合はおおむね、①発症前の1ヶ月に160時間、または3週間に120時間、②発症前の連続した2ヶ月の平均が120時間以上、③発症前の連続した3ヶ月に平均100時間以上の時間外労働となっております。

裁判所は、自殺した男性の精神障害は発症する4ヶ月前の繁忙期には月の時間外労働が約134時間にのぼっており、その後も月約57~79時間となっていたとされます。また自身が起こした配送中の事故も心理的負担となっていたとされ、発病と業務の因果関係が認め、男性の自殺を労災として認定しました。

働き方改革が進むなかで、今後、このような案件が減少することが期待されますが、人手不足などを原因とした長時間労働などが消えることはなく、またそのような長時間労働のもとでも労災認定がなされない案件は潜在的に多いと考えられます。

企業の継続的発展の観点からは、このような長時間労働を減少させることが必要ですし、従業員の命を守るためにもこのような労働内容や労働時間を適切に管理する必要があります。

長時間労働や、過労死、過労自殺の問題でお困りの場合は、お気軽に当事務所へご相談下さい。

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