トップページ > ブログ > 県道に水たまりで横転事故|県に責任は?

ブログ

県道に水たまりで横転事故|県に責任は?

交通事故

県道の水たまりがあり、トラックが車輪を取られ横転し運転手が死亡した場合、道路の管理者である県に賠償責任はあるのでしょうか。

トラックの単独事故で責任を求める相手方車両はありませんが、道路の不具合(瑕疵)が事故原因で県の管理責任を問うことができるかという問題となります。

法律的には、国や地方自治体に対する損害賠償請求の場合、国家賠償請求となるため、国家賠償責任法上の義務に県が違反したかどうかが問題となります。

具体的には、「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害が生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる」(国会賠償法第2条第1項)の規定の問題となります。

報道では、トラック運転手が車輪をとられた原因の水たまりは長さ約35メートル、幅約3メートル、深さ約15センチで、水たまりができた原因は県道の排水溝に落ち葉がたまって雨水の排水が妨げられて生じたものということです。

瑕疵か否かの判断基準としては、物の有する一般的な安全性を満たしているか否かの判断となり、本件では道路に深さ15センチものみずたまりが幅3メートル、長さ35メートルもの距離があれば、通常有する安全性を欠いていると言え、瑕疵と認めて良いと思われます。

この場合、県に管理責任があったかどうかですが、予期できないほどの突然の大雨などであれば、予見可能性が低いため、管理責任は否定されやすくなります。

逆に過去に雨が降り、排水溝に落ち葉がたまり、水たまりができたことがあれば、大雨が降れば大きな水たまりができるという点について予見可能性が高いため、管理責任は認められやすくなります。なお、排水溝に落ち葉がたまる構造的な原因があることも、定期的に落ち葉を除去することや構造的原因に対し改修工事をするなどの県の管理責任を怠ったことが、県の管理責任を認めるために必要となります。

この事案は2014年のトラック運転手男性死亡事故で県を訴えた裁判の事例ですが、裁判では、県の管理責任違反を認め、賠償を命じており、その理由としては道路に瑕疵があること、県が道路の安全を保つ管理責任を怠ったことが認定されています。

交通事故では、道路の安全管理義務違反で国や県などを訴える事案も多々ありますので、そのような事故があった場合には当事務所へお気軽にご相談下さい。

「安心」と「信頼」をお客様へ。

みずほ綜合法律事務所(札幌弁護士会所属)は、個人や会社に安心と信頼をお届けしてきました。

20年以上の実績を持つ弁護士が、実績と知識に基づく確かな解決をご提案させて頂きます。

ページの先頭へ