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検索結果の削除要件(最高裁判例)

企業法務誹謗中傷

ネット社会では、自分の考えや気持ちを容易に書き込めるため、結果として会社や個人の名誉を棄損する書込みが増えてしまいます。

また、このような書込みは匿名で行えることから、真実かどうかをほとんど確認しないまま書かれることが多く、これを削除するためには、書かれた側は相手方を特定し、削除請求や名誉棄損による損害賠償請求などの裁判を提訴する必要があります。

削除請求の相手方として考えられるのは①書込者本人や②書込内容を保存管理する者ですが、3か月程度で書込者本人のアクセス情報が削除されることもあるため、書込者本人を特定することが現実的に困難な場合があります。

余りに評判を低下させる書込みが多い場合、ヤフーやグーグルなどで、会社の名前を検索すると、会社のオフィシャルホームページより、会社の名誉を低下させる書込みの掲示板などの方が上位に表示されるなどの例もあり、このような場合は、書込者本人の特定は非常に困難です。

このような場合の対応方法として考えられるのが、削除の相手方をヤフーやグーグルなどとして検索結果の内容削除を求める方法があります。

今回、このような事案として、グーグルを相手方として、自社の会社名を検索すると約200超にわたり不利益な検索結果が出てくるとして、会社の名誉を侵害するものとして削除を求めた事案に対して、最高裁の裁判結果が出ました。

検索結果の削除要件については、書込内容により異なりますが、今回の事案では、過去の犯罪に関する情報であったため、過去に最高裁はこのような犯罪事実を不利益として削除するかどうかは、「当該事実を公表されない法的利益」と「検索結果として提供する理由に関する諸事情」を比較衡量し、前者が優越することが明らかである場合に削除請求が認められるとしました(最高裁小法廷平成29年1月31日)。

最高裁は、公表されない法的利益と事業者側の諸事情の比較に際して検討される判断要素として、①当該事実の性質・内容、②伝達される範囲と具体的被害の程度、③事業者の社会的地位や影響力、④その記事の目的・意義、⑤その記事が掲載された時の社会的状況とその後の変化、⑥その事実を記載する必要性などを考慮要素としています。

結果として、グーグルで検索を行うと、会社の不利益情報が200超にわたるため、グーグルに削除を求めた今回の事案は、最高裁で請求を却下されました。

最高裁の判断基準を使った認定手法は、検索結果の内容が、犯罪事実であれば、それが裁判などで確定したものであれば削除は非常に難しく、そうでない場合でも、明らかに事実無根などの事由がない限り、書込を削除することが容易ではない傾向となっています。

但し、これは相手方を事業者とした場合の判断傾向であり、書込者本人が相手方の場合には、書込者の側にも相当な立証責任を課されるため、判断結果は異なりうる可能性があります。

会社や個人の評判を低下させる悪口、情報漏洩、誹謗中傷、名誉棄損などの問題でお悩みでしたら、当事務所へお気軽にご相談下さい。

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