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「はれのひ」破産と弁済(会社破産)

会社破産自己破産

今年、成人式に着るための、振り袖の販売や貸出などを行ったいた「はれのひ株式会社」が、突如閉鎖し、連絡もつかなくなり、多くの女性に成人式用の振袖が届かないという被害が発生したのは記憶に新しいかと思います。

その後、「はれのひ」は、横浜地方裁判所へ破産手続きの申請を行い、本年1月26日付で「破産手続を開始する」との決定を受けましたが、この場合に、振袖を購入した着物の代金を返して貰えるのか、破産手続きとは一体どんな手続きでどんなことがされるのかを概説したいと思います。

破産手続きが開始決定がなされると、破産管財人が選任されます。破産管財人は弁護士のなかから、裁判所が選任し、破産管財人は債権者の代表という立場から、破産会社の資産の現金化の手続き、破産会社の債権者(はれのひに、お金を返してもらう権利のある人)の調査、破産に至る原因の調査などを行い、破産会社に弁済可能な資力がある場合は債権者に配当の手続きを行います。

はれのひの負債は、6月20日の第1回債権者集会の破産管財人の報告によると、負債が10億円以上(金融機関などからの借入金約4億、一般の取引の損害3億超、その他税金など)に対し、資産は振り袖の売却額1620万円程度しかない報告のため、配当の手続きは、①財産債権(例:税金、管財人の報酬)、②優先的破産債権(例:従業員の未払い給料など)、③一般的破産債権(例:金融機関からの借り入れ、取引による損害)、④劣後的破産債権(例:破産手続き開始後の利息)の順に支払いがなされる制度のため、今回は、税金と管財人の報酬などの財団債権を支払い、残りの破産債権(振袖の購入被害者の被害金)に対して、配当手続きが行われず、廃止手続き(破産手続きが終了すること)が行われるものと思われます。

破産原因(債務超過や、支払いができなくなったこと)に至る過程で、はれのひの社長は、2016年9月の決算書類に架空の売り上げ約5000万円を計上し、債務超過を黒字として銀行から借り入れをしていた点について、詐欺の疑いで逮捕されました。このような破産に至る原因過程についても、破産管財人が綿密に調査します。

はれのひの破産手続きにより、騒ぎとなった着物の購入者への配当(分かりやすい表現では、「賠償金の返金」)はなされませんが、これは、「はれのひ」という法人に資産がなかったためにおきる破産手続きの制度上の限界で、やむを得ない結果となります。代表者が責任を負わないのかですが、破産手続きにおいて、財産を隠した、虚偽の説明をした、あるいは、破産手続き前に詐欺をしたなど、特段の事情がない限り、刑事責任を問われることはありません。

なかなか、理解しにくいかもしれませんが、そもそも破産手続きは、資金繰りなどで破たんした会社を清算するため、全員が利用できる手続きとなっており、借金を作ったこと自体を処罰する制度ではないため、被害者の被害感情に必ずしも沿わない結果を伴います。

逆の言い方をすると、はれのひのように返済が不能となった個人や会社は、破産手続きをとり、その資産や負債、破たんに至る原因を明らかにするということが、債権者に対し、残された責任の取り方と言えます。

当事務所では、会社の借金、経営破たんなどで、お困りの方に対し、会社破産や債務整理の手続きをとっていますので、お気軽にご相談下さい。

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